読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

半死半生

変化のない毎日を過ごすコミュ障オタク女が足掻いたりだらけたり

「無料」の善意がクリエイターを殺す

イラレやフォトショなんかのソフトが普及した昨今。

プロのクリエイターがSNSで制作のコツを惜しげもなく教えてくれてたり、無料素材サイトでクオリティの高い素材をダウンロード出来たり……。アマチュアでもそれなりに見栄えの良いデザインを簡単に作れるような時代になりました。下手すりゃそこらのデザイナーより凄い作品作ってたりね。

デザインが身近になってくるにつれ、気になって仕方がないのが、Twitter上でたまに見掛ける「〇〇無料で作ります!」系のツイート。

 

待ってくれ。それ無料でやっちゃうの?

 

先日も「ロゴ無償で作ります!」という方のツイートが回ってきて凍り付いた。アマチュアとは思えない、とても素敵なロゴの数々。リプライ欄に殺到する依頼。拡散され、この『無償でロゴを作ってくれるクリエイターがいる』という情報が、多くの人々の元に届けられた。

 

物凄い恐怖である。

 

「無料で制作しますよ~」と言っている方々は、勿論何か悪いことをしている訳ではないです。

例えばプロのデザイナーを目指している人が、練習で何か作りたいと考える。ロゴやイラストを描くのが趣味だという人が、何かお題が欲しいと考える。そういった人々にとっては『制作すること』そのものが目的であるから、無償で作ってもいいですよ、それで誰かの役に立つならWin-Winだよね、という考え方自体は非常によく理解出来ます。彼ら彼女らの善意で喜ぶ人達がいて、一見するととても良いことのように見える。

じゃあ何が問題なのかといえば、彼らの善意の陰で、無関係のプロのクリエイター達が殺されるかもしれない、ということです。

 

プロのクリエイターというのは、ロゴやポスターやイラストなんかを作って、それでお金をもらって生きている。作ったものに相応の対価を貰えなければ、クリエイター職というものは当然成り立たなくなる。そのバランスを崩しかねないのが、先述の『無料で作る非デザイナー』達である。

絵を描かない人にとっては、イラスト制作にどれくらいの時間が掛かるかも分からない。「ロゴ?ポスター?プロならちゃちゃっと出来るんでしょ?えっそんなに高いの!?パソコンで作ってんだから材料費とか掛からないでしょ!?」この程度の認識の人が山ほどいる。「チラシ100枚作って!1枚50円で5000円くらい?」とか本気で言ってくる。それカラーコピーの料金じゃねえか。

そんな人達がSNS上で「無償で制作します」を見たらどう思うか。「なんだ、やっぱりタダで作れるんじゃん」「無料って前にネットで見たよ。なんでそんなに料金掛かるの?」

こうなることが、とにかく怖いんです。

 

デジタルコンテンツや芸術に対する世間の価値は、とても低い。クリエイティブな仕事なんて趣味の延長みたいなもんだろうと。楽しんでやってんでしょ?お金取るの?なんて考え方の人がびっくりするくらいいます。

一部の方々の善意を盾に、プロにまで同じ善意を要求する。そんなことが増えていけば、クリエイターは食べていけなくなる。クリエイターとして生きていけなくなる。「無料」の善意がクリエイターを殺してしまう。

 

誰かの同人誌のデザインやってみたい!ロゴ作ってみたい!表紙絵描いてみたい!という方達。プロじゃないから、趣味の延長だから……なんて言わずに、どんどんお金を取ってやってください。あなた達は価値のあるものを作ってるんです。お友達価格で100円、500円とかでもいいのよ。イラストやデザインというものが、お金を対価に得るべきものだという認識がもっと世間に広まってほしい。見返りを求めることは決して悪いことではないのです。そのささやかな見返りが、クリエイターという仕事を生かすことに繋がると思うのです。